この世には、
国宝でなく
旧国宝と呼ばれる建造物があります。
旧国宝という呼び名がなんとも悲しい。
お宝と思われていたものが、
それほどの
お宝でもなかったということで、
国宝から降格されたイメージなのであります。
そんな
旧国宝を探しました、見つけました。
そんな
旧国宝は、
群馬県吾妻郡中之条町にある
日向見薬師堂なのであります。
日向見薬師堂日向見薬師堂は
四万温泉の温泉街からちょっと離れた場所にあります。
しかし、この場所が
四万温泉発祥の地と
言われているのであります。
源頼光の家来、
碓氷貞光(うすいのさだみつ)が
日向見で
一晩中、
お経を読んでいたところ、
夢の中に現れた
山神の化身である
童子より
「読経の真心に感心し四万(よんまん)の病気を治す温泉を与えよう」
とお告げを受け、
目を覚ますと枕元に
温泉が湧き出ていたという
伝説があるのです。
しかし、
読経の真心に感心しというわりに、
夢の中に童子が現れたということは、
読経中、
寝てたってことじゃねぇか、
と
疑問が湧いてくる心温かい逸話なのであります。
日向見薬師堂の前には、
気づかれないように小さく
「旧」国宝と書かれた
石柱があり、
気まずさが伝わってきます。
小さい「旧」旧国宝とは、何なんでしょう?
昭和25年に
文化財保護法が制定され、
以前
国宝とされていたものが
一旦は
重要文化財とされ、
その中から
より価値のあるものが
新国宝に指定されたのです。
なので
日向見薬師堂は、
その時にふるいにかけられ、
新国宝に
昇格できなかったのであります。
希望の党に公認されなかった、
民進党議員のようなのであります。
そのため、
群馬県は
富岡製糸工場が国宝に指定されるまで、
国宝がない県となっていたのでありました。
お籠り堂日向見薬師堂の前には、
「お籠り堂」という建物が建ってます。
門のようになっており、
真ん中が
通路になっています。
薬師様に
病気治癒を祈願するための
泊り込みをした場所とのことです。

この通路をくぐると、まるで
長屋の間の
通路を通り抜けてるような気分。
思わず中を
覗きたくなるのです。
薬師堂は、見事な
茅葺屋根。
間口3間、奥行3間、
寄棟造なのであります。

堂の真ん中に、ガラスの格子戸がはめられており、
真ん中はガラスがなく、中が
覗けるようになっています。

真ん中から本尊の
薬師如来を拝むことが出来ますが、
覗いているという意識から、
拝むという
神聖な行為が、
破廉恥な行為のように思えてくるのであります。
薬師如来日向見薬師堂はひっそりとした佇まい。
旧国宝という肩書がまた、
寂しさを増幅させてくれるのです。
旧国宝とはいえ、
日向見薬師堂は貴重な
群馬県最古の寺院建築物。
多くの
総理大臣を輩出している
群馬県の政治力をもって
ぜひ日向見薬師堂を
国宝に格上げして、
ちっちゃい
「旧」を消していただきたいのであります。
- 関連記事
-