今まで見た京都のお寺とどこか違う・・・ という気分になれるお寺!? ／ 東京都港区白金台 瑞聖寺

京都　萬福寺(まんぷくじ)は、宇治市にある
黄檗宗(おうばくしゅう)大本山の寺院。
JR東海の「そうだ京都、行こう。」2014年夏のキャンペーンに
取り上げられたお寺なのです。
中国様式の建物は、異国情緒を感じさせ、
京都なのに中国、とこれまでの「そうだ京都、行こう。」キャンペーンとは
一線を画したCMに興味を持った方も多かったのではないでしょうか？




京都　萬福寺



黄檗宗は、日本の三禅宗の一つ。
臨済宗、曹洞宗がメジャーなのに対し、知名度はいまいち。
三大ギタリストで言うならジェフ・ベック、
代表曲が思い浮かばないのであります。

臨済宗、曹洞宗が日本独自の禅宗様式を展開したのに対し、
黄檗宗は明朝風様式を継承しているのであります。
宗教様式にのみならず、美術・建築・料理など様々な明朝文化を日本にもたらし、
多大な影響を与えたのであります。
萬福寺の開山は隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師。
そう、あのインゲンマメを日本に持ち込んだ、
インゲンマメ嫌いのチビッ子にはハタ迷惑な人物なのであります。



そんな中国文化を感じさせるお寺を探しました。見つけました。

そのお寺は、東京都港区白金台にある瑞聖寺(ずいしょうじ)。
東京のど真ん中に中国はあったのであります。





瑞聖寺　山門




瑞聖寺　大雄宝殿の反り返った屋根は、
萬福寺を感じさせます。
それもそのはず、瑞聖寺は黄檗宗の寺。
大本山萬福寺の末寺であり、萬福寺を模して造られたのであります。





瑞聖寺　大雄宝殿

天井に卍固め



大雄宝殿は、なんと国の重要文化財に
指定されています。
瑞聖寺自体、その存在があまり知られていないのですが、
国家はしっかりマークしていたのであります。





重要文化財なのであります




大雄宝殿内部も、覗いてみると異国を感じさせます。
扉の内部が、いきなり中国なのであります。




大雄宝殿内部




本尊は釈迦如来像、平面的な顔をしています。
脇を固めるのが、釈迦十大弟子の阿難と迦葉。
どっちが阿難でどっちが迦葉かわかりません。
作風が違いすぎるのであります。
ひとりは確実に外人。
まるでヒデとロザンナなのであります。





釈迦如来像と脇を固める阿難・迦葉



萬福寺のCMには金ピカの布袋様が
映っていましたが、瑞聖寺にもやはり布袋様がいるのであります。
しかし色は金ピカではなく、真っ黒。
勝手なイメージで大黒様に思えてしまうのであります。
別に大黒様が色黒ということはありません。
勝手な偏見は抱いてはいけないのであります。
布袋寅泰のせいで、七福神の中で
異様に顔が長いのが布袋様と勘違いしがちですが、
それは福禄寿。
間違わないように気をつけなければ、ならないのです。




真っ黒い布袋様



大雄宝殿内部には瑞聖寺の開山である木庵和尚の像も安置されています。
しかし、その風貌はやはり中国式。
NHK人形劇、三国志に出てきそうな風貌。
島田紳助人形と酒場で飲んでいそうな雰囲気を醸し出しているのであります。
さらに脇を固める僧侶は、ひょうきん族で
たけしが被っていた中国人のゴム製お面みたい。
中華街で購入できそうなのであります。
しかし、眉毛の長さだけはゴムでは表現しきれないのであります。





中国ペア木像




大雄宝殿の裏側も苔が生していい雰囲気。
幾何学的な敷石も整然としているのであります。







大雄宝殿　裏庭




大雄宝殿前の通路には雲版(うんぱん)と魚鼓(ぎょく)が吊るされています。
雲版も魚鼓も叩くことにより時を知らせるための道具なのです。





雲版


魚鼓



魚鼓は、木製の巨大な魚の形をしており、
中が空洞で音が響くようになっています。
決して汚れたペッシェ・ヴィーノの壜を吊るしている訳ではないのであります。





口から浮袋が飛び出した深海魚みたいになってます





魚鼓は木魚の原型と言われています。
木魚といえば、自分がまだ小学生の時、京都に行きました。
大原三千院を訪れた時、グッズコーナーで
ミニ木魚が売っていました。
一目見て、おおっ、my　favorite　thing!
これを購入すれば、法事の時に、和尚さんをアシストできる、
と即購入したのであります。
宿に帰ってから、隣室から不気味な音がするとクレームが来るまで
ビートを刻み続けたのであります。


京都から家に帰ると、おばあちゃんが
旅の話を聞かさせろと強要してきました。
古来より、老人は孫の話を聞きたがるのであります。
仕方がないので、買ってきた木魚を見せてあげました。
すると仏壇の下の仏具入れより、
台座にちょうどいいハスの形をしたクッションを取り出し、
くれたのであります。
おおっ！ just fit !　完璧なバランス！
さすが年の功！　いいものを隠し持っているのであります。

そこまでは良かったのですが、
記念に、と勝手にmy木魚に赤ペンで
「大原三千院にて」と日付と自分の名前を
書き込んでしまったのであります。
引きました。自分の名前が書いてある木魚なんて！
小学生の美意識でも、それは無しだったのであります。
それ以降、木魚は二度とビートを刻むことはなかったのであります。


あまり知られていない瑞聖寺、この夏、ぜひ訪れてみてください。
しかし夏は虫が、テング熱になりたくないし、
という方も多いでしょう。
安心してください。瑞聖寺さんは、
参拝者のために虫よけスプレーを用意してくれているのです。
しかも、4本も。
さらに刺されたときのために、キンカンまで用意しておいてくれているのです。
瑞聖寺さんは虫嫌いの方に優しいお寺なのであります。





虫嫌いに優しいお寺



しかし、4本の虫よけスプレーのうち、
2本は空だったのであります。
瑞聖寺さんには、本格的な夏に向け、
虫よけスプレーの補充をお願いしたいのであります。