京都 六波羅密寺は、
京都市東山区にある寺院。
市聖(いちのひじり)と呼ばれ、
踊り念仏の元祖とされる
空也上人を
開基とする寺院なのであります。
踊り念仏は鎌倉時代に幕府から弾圧を受けましたが、
六波羅密寺は密かにかくれ念仏を続けてきた
ダンシング寺なのであります。
口から
6体の阿弥陀仏像が吐き出され
行進している姿が印象的な、
空也上人立像があることでも有名なのであります。
京都 六波羅密寺そんな
ダンシング寺を関東でも探しました。
見つけました。そのお寺は、神奈川県
藤沢市にある
遊行寺。
遊行寺は、
一遍(いっぺん)上人を
開祖とする
時宗の総本山。
一遍上人は、
空也上人を
リスペクトし、
踊り念仏を継承した
空也チルドレンなのであります。
鎌倉での布教を目指しましたが、鎌倉幕府に阻止され、
仕方なく
藤沢で
踊り念仏を修されたのです。
藤沢は
一遍上人の思い出の地であり、
のちにこの地が
総本山になるという奇跡が起こったのであります。
遊行寺 惣門
ところで
時宗って、なんなのでしょう?
自分の周りで
「うちは時宗だ」という人を知りません。
営業マンは、
支持政党・好きな球団・宗教の
話はしてはいけないと指導されます。
宗教の話は、
デリケートな問題なのです。
しかし、自分が小さかった時は、おおらかな時代だったのでしょう。
小学校の社会科の授業で先生が、
「自分の家はどの宗派の檀家か調べてみましょう」という課題を出したのであります。
じぶんちは
臨済宗 妙心寺派。堂々と答えました。
しかし、地域性でしょうか、周りで
「うちは
時宗で、法事のたびに坊さんが来て、
踊りまくってます。」
という話は聞かなかったのであります。
自分にとって、
時宗は未知の宗教なのであります。
やはり、
時宗の寺では
踊りまくっているのでしょうか?朝5時の読経の時間になると、
ダンシングタイムとなるのでしょうか?
どうやら、
そうではないようなのです。
現在、
踊り念仏は春と秋の
開山忌のみ、
季節行事として行われているようであります。
黒門
中雀門 時宗の寺は門がいっぱい?本山の受付は
近侍司寮(ごんじしりょう)と呼び、
信徒・団参の方々は、この
御番方(ごばんかた)と呼ばれる入口から入ります。
御番方のそばには
放生池と呼ばれる池があります。
五代将軍
徳川綱吉の時代、
「生類憐れみの令」発布にともない、
江戸市中の
金魚が
遊行寺の池に放生されたのであります。
しかし現在、
放生池を見渡しても、あまり
金魚は見受けられません。
江戸市中から集められた金魚はどこに行ったのでしょう?
江戸市中の金魚は
「生類憐れみの令」によって、
逆に
哀れな末路を迎えたとしか思えないのであります。
御番方
放生池御番方の裏には、
宇賀神社があります。
宇賀弁財天は
開運弁財天ともいわれ、
俗に
銭洗弁天として信仰され、銭を洗うことによって、
財福を招くと信仰されているのであります。
宇賀神社
宇賀神社から本堂に向かう間には
回向堂があります。
一見、
銀閣に思える形なのです。
まるで
窓のない銀閣なのであります。
回向堂遊行寺の
時宗の総本山だけあって、
本堂も立派なのです。
木造銅葺、木造としては
東海道随一といわれているのであります
本堂本堂の中央には
阿弥陀如来坐像が鎮座しています。
おお、なんと立派な
ブルーヘッド仏と思いきや、
鎮座しているように見える
ブルーヘッド仏は
布に印刷された
ホログラム仏だったのであります。
幻を見ているよう、見事な
精度。
自分に家族の白い目に耐えられる
忍耐性があれば、
家に
タペストリーとして飾りたいくらいなのであります。
現在、本尊の
阿弥陀如来坐像は
修復に出されており、
代わりに
ホログラム仏が飾られているのです。
ブルーヘッド仏には、
クマネズミに噛まれた傷を癒して
はやく戻ってきていただきたいと心から
祈るばかりなのであります。
ブルーヘッド仏は印刷なのです本堂脇には、
地蔵堂があり、
地蔵堂の前には、
ミニ鐘楼があります。
子供の頃は、近所のお寺に行き、鐘を突きまくっていましたが、
昨今、どこのお寺も
不用意に鐘を突いてはいけない雰囲気。
この鐘は、
どんどん突いて下さいという雰囲気。
小さいのでいくら突いてもかまわない、響く音も小さいのです。
こちらも家族の許しがあれば、家の
呼び鈴にしたいのであります。
地蔵堂
ミニ鐘楼遊行寺本堂前には、
時宗の総本山に相応しく、
一遍上人像があります。
その姿は、異様なまでの
前傾姿勢。
まさに
拝み倒しているのであります。
一遍上人像遊行寺境内には、立派な
宝物館もあります。
書院裏の土蔵に収められていた
お宝が展示されているのであります。
宝物館なかでも目玉は、有名な
六波羅密寺にある像と
同じ構図の
空也上人像が展示されているのであります。
遊行寺の像も、やはり口から発した
「南無阿弥陀仏」が
6体の阿弥陀像となり
行進しているのであります。
六波羅密寺 空也上人像 藤沢においても、あのグッとくる
吹出し空也像を見ることができるのです。
この像は最近、発見され今年から公開されているそうです。
今までその存在を忘れていた、
遊行寺のウッカリ具合もビックリなのです。
館内は撮影禁止のため、写真を見せられないのが誠に残念。
ぜひ、
遊行寺宝物館を訪れていただきたいのであります。

今まで馴染みが無かった
時宗を知るため訪れてみた
遊行寺。
実際に訪れてみましたが、結局、
時宗のことは何一つ判らなかったのであります。
ただ、
常に踊っていないということは確かなようです。
自分にとって時宗は、謎の
踊念仏集団なのであります。
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